できっこないをやらなくちゃ

早稲田大学文学部中国語中国文学コースのキャプテンが綴る日常と非日常

恋の終わり、旅の始まり

僕は旅人になった日を明確に覚えている。

 

それは恋が終わった日だ。

今年の二月、僕はサークル同期の女の子に告白をして振られた。

その日は羽生君と宇野君がオリンピックで金メダルと銀メダルをとった日だった。

しかし、そんなのは僕にとってどうでもよくて僕はその女の子に告白するんだという気持ちだけで息をしていた。その前日の夜に電話をいきなりかけて、告白しようとしたけど彼女は寝てしまっていて、翌日の昼下がりに電話をかけたのだ。

家の近くの公園に行って、覚悟を決めてLINE通話をかけた。たぶん前日にいきなり電話をかけていたので、彼女は僕が告白するということを予知していたと思う。

その1週間前くらいに僕は彼女と渋谷で映画を見ていて、その時にこう聞かれたのだ。

「なんでいきなり映画誘ってきたの?」

デートしたかっただけなんてまさか言えるわけないし、僕は「気まぐれ」って答えるほかなかった。

だから僕はこう告白した。

「あの時、気まぐれって答えたけど、好きだから誘ったんだ。」

間髪入れずに、彼女は「ごめん」と言った。

はやい、はやすぎる。

へいへい、お嬢ちゃん、もうちょい悩んでるふりしたらどうなんだい?

あまりのはやさにこっちも落ち込む準備出来てないんですけど?

MajiでKoiする5秒前って言うやん。

Mahiで振られる前に5秒くださいよ。

そんなわけで僕は当たって一瞬で砕けてしまった。

「泣いてる?」と聞いてきた彼女に、泣いてない、ナエトルと答え、僕は強がった。

僕と彼女はサークル(今はやめてしまった)が一緒というだけでなく、4月から学部の同じコースに進むことも決まっていたので、正直かなり気まずくなってしまうんじゃないかと心配した。

しかし、中文でありがたいことに彼女は僕と距離を取ることなく普通に接してくれている。

自分が過去に彼女に告白して振られたということが現実なのかどうか疑う程だ。

まあそれは彼女がおとなだからということに尽きるだろう。

 

振られたあと僕は覚えたての煙草を吹かし、自転車を立ち漕ぎして、バイト先に向かった。

ハンバーグを運んでいると気がつくと僕は泣いていた。ハンバーグの隠し味は涙である。

爆弾ハンバーグはどうやら振られたてのしゃおじょんという爆弾を抱えてしまったようだ。

 

料理を運びながらふと思った。

遠くに行きたい。誰も自分を知らないどこかに行ってしまいたい。

 

僕が旅人になったのはこの瞬間である。

2日後には僕はリュックに本と日記を入れて群馬に向かっていた。

前々から行こうと思っていた自分の苗字の地名が群馬にあるのだ。

 

特に行く理由もないし、なんにもないところらしかったが、他に別に行きたいところもないし行先はどこでもよかった。

 

ただ鈍行電車に揺られて、ぼんやりと車窓を眺めながら好きな音楽を聞きたかったのだ。音楽に飽きたら適当に本をペラペラ捲ってみたりもした。

 

館林駅についた後、電車には乗らず、2時間半程歩いて目的に向かった。

ラッキーストライクを吸いながら、そして奥田民生を流しながら僕はゆっくり歩いた。イージューライダーを聞くと、僕はいつもあの田んぼ道を思い出してしまう。

 

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そして着いたその駅は無人駅でなんにもなかった。当時の僕は「ここほんとなんもねえな、今の俺みたいだ」だなんて心の中で呟いていて、すごいくさかったと記憶している。

 

そのあと新桐生にあるバイト先の1号店に向かい、爆弾ハンバーグを食べた。

そこで珈琲を飲みながら、日記を書いた。

その時の日記はちょっとあまりにもくさすぎて、嘔吐しそうなレベルなので、さすがに公表はできない。

しかし、その見知らぬ土地で日記を書いてる時に思った。

旅っていいな。もっと色んなところ歩きたいな。

 

誰しも旅人になった日があると思う。

その日はこれから旅を続けていく上で原点となる日で、いつでも帰ることが出来る特別な日だと思う。

 

僕はこれからも旅を続けていくつもりだけど、いつでもあの駅は僕の始まりだ。

 

彼女がこの記事を見つけないことを願って。

 

ピース。